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  アメリカ歴史散策(その6)

             デトロイト
                              
 ミシガン州最大の都市デトロイトの西に隣接しているディアボーン市に ヘ ンリー・フォード博物館がある この博物館の隣りには グリーンフィールド ・ビレッジという広大な敷地の屋外博物館がある ここにはアメリカの歴史を 網羅した様々な展示棟や屋外展示物が設けられている detroit01.jpg ←麦の刈取り風景  (馬で引く自動刈取り機)   ↓ミシシッピ川を航行した外輪船  detroit02.jpg  私が釘付けになった展示棟があった 絹の紡績の様子を示す一角があった そこでは糸を紡ぐ実演をしていた なん と お湯で温めた蚕の繭から糸を紡いでいたのである 蚕は口から吐き出す一 本の絹糸で自分の身体を覆う繭を作り上げる 繭をお湯に浸して柔らかくした 状態で糸の端を引き 何本かをより合わせることで強い絹糸ができる  繭をお湯で煮ながら糸を紡ぐ様子は 私の少年時代の思い出として残ってい る 私の育った群馬の農家では養蚕が盛んで 商品価値の低い繭から糸を紡い だり真綿にしたりして自家用に使っていたのである detroit03.jpg ←手前の細長い箱にお湯と繭が入って  いる  ↓米国最初の絹糸工場の説明板   (後ろは桑の木) detroit04.jpg  私が驚いたのは アメリカでも養蚕が行われていたという事実である  絹糸工場についての説明板によれば 最初に作らた絹糸工場はコネチカット州 (ミシガンの東の大西洋岸沿い)で 1810年のことだそうである 絹は日 本をはじめとするアジアだけで生産していた と思い込んでいたのは間違いで あった  なお 養蚕用の桑の木は 写真のような大木は使わない 柔らかい葉を摘み 易くするため 毎年根元から生える若木だけを使うからである  絹の歴史は長い 歴史を紐解いてみると 生産国は地球規模で移動している ようである かつてはヨーロッパでも生産していたそうである イタリアではコモシルクが有名である ミシガンを訪問した年にイタリア北部 のコモ地区を通過したことがあった 現地のガイドさんに聞いてみると 現在 ではタイや中国からの輸入に頼っているようである   ミシガンは姉妹都市交流の使節団として訪問した 私がお世話になったホームステイ先は デトロイトから100キロほど離れた 町にあった ホストのM婦人は70歳だったが 娘が住んでいるジョージア州 まで およそ1,000キロを14時間かけて車を飛ばすほど 元気で気丈な 人だった  ミシガンを訪問した翌年 映画「エイトマイル」(8 Mile)が封切ら れた 映画はラップのエミネムを描いたもので 1995年頃のデトロイトの 貧民街が舞台である 私はM婦人の運転で デトロイトの市街地を2回通過し たことがある 荒れ果てた町並みを見たときは 心が沈んだ  「デトロイトの市街地を通過するときは 人と視線を合わさないようにしてい る」 とM婦人は苦笑していた  ------------------------------------------------------------------
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